私たちがことばを習得するにあたり、語彙の知識とその運用能力を身につけることは必要不可欠な要素です。
みなさんの英語学習の目的が、聞く、読む、話す、書くといった活動の中で英語を使いこなせるようになることだとすると、それらの活動の中で本当の意味で使える語彙を習得することを念頭に学習方法を考えましょう。
たとえば、「discussという単語を知っていますか」と聞かれた場合、どう答えますか。「~について話し合う」という日本語訳を思い浮かべられたら「知っている」と答えるかもしれませんが、それだけでは英語を話したり、
書いたりする際にdiscussを使いこなすことはできないでしょう。
Nation(2013)*1 は下の表に示したように、単語の構成要素として18項目挙げています。
What is involved in knowing a word? (Nation,2013:49)
Form | Spoken | R | What does the word sound like? |
---|---|---|---|
P | How is the word pronounced? | ||
Written | R | What does the word look like? | |
P | How is the word written and spelled? | ||
Word parts | R | What parts are recognizable in this word? | |
P | What word parts are needed to express the meaning? | ||
Meaning | Form and meaning | R | What meaning does this word form signal? |
P | What word form can be used to express this meaning? | ||
Concepts and referents | R | What is included in the concept? | |
P | What items can the concept refer to? | ||
associations | R | What other words does this make us think of? | |
P | What other words could we use instead of this one? | ||
Use | Grammatical functions | R | In what patterns does this word occur? |
P | In what patterns must we use this word? | ||
Collocations | R | What words of types of words occur with this one? | |
P | What words or types of words must we use with this one? | ||
Constraints on use | R | Where, when, and how often would we expect to meet this word? | |
P | Where, when, and how often can we use this word? |
注. 表中のRはreceptive knowledge(聞く、読む際に使う受容知識)、Pはproductive knowledge(話す、書く際に使う産出知識)のこと。
この表にそって考えれば、discussを例にとると、「他動詞なのでdiscuss the problemのように直後に目的語を取る」といった語法の知識や、「話し言葉でも書き言葉でも頻出する語ではあるけれど、日常生活ではtalk aboutの方がよく使われる」などの知識も含まれることになります。そして、とくに高頻度語彙については、できるだけ多くの項目を習得することがコミュニケーション活動の中で適切にその語を使いこなすことに繋がると考えられています。
また、語彙は長い間、語彙サイズで示される「広さ(Size)」と、受容語彙や発信語彙としてのさまざまな側面から捉える「深さ(Depth)」という二次元で考えられてきましたが、近年では「流暢さ(Fluency)」の要素も加えて論じられることが増えてきました(Daller, Milton and Treffers-Daller, 2007)*2。これは、実際のコミュニケーションでは聞いたり読んだりしたことを即座に正確に理解して反応する必要があるからです。このため、コミュニケーションの場面で単語を使いこなすには、これらのことを考慮して単語学習の活動を設定する必要があるのです。
3D Vocabulary Levels Testでは、この「広さ」「深さ」「流暢さ」の3つの側面から皆さんの語彙力を測定できるように7種類の形式のテストで構成されています。自分の語彙力の強みや弱点を3D Vocabulary Levels Testで明らかにして、各側面をバランスよく伸ばすよう意識しながら語彙力を鍛えていきましょう。
3D Vocabulary Levels Testの使い方については、学習者の方へ をご覧ください。