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英語のデジタル教材の制作およびその効果を検証する研究をしています

研究プロジェクトResearch Projects

教材選択ナビゲーターの必要性

3ラウンド・システムのeラーニング教材を使用している全国26大学、延べ11,681名の学習者に対して行った調査によると、教材が効果的に使用されていない事例があることがわかりました(Takefuta, Takefuta, & Yonaha, 2008)。その原因を分析したところ、教材の選定が適切に行われていないことが要因の一つであると推定されたのです。教材が不適合である場合は、適合している場合と比較して学習効果や効率が低下することはこれまでにも多くの研究者により指摘されています。たとえば、竹蓋・水光(2005)は学習者が教材に対して興味を持っているか否かは、英語聴解力の向上及び継続学習意欲に多大な影響を及ぼす、と報告しています。また土肥他(2001)は、1,426名の学生に事前テストでのTOEICスコアを考慮し、6種類の3ラウンド教材のうちの1つを各学習者に割り当て、約4か月間学習させたところ、教材の難易度が合致していた学習者はTOEICで平均100点上昇したのに対して、教材が易しすぎたり難しすぎたりした場合の上昇量はその半分程度であった、と報告しています。

これらの研究からも、学習教材の選定にあたっては、当該学習者の習熟レベルや興味と適合している教材でないと学習効果が表れにくくなることは明らかであり、授業の担当教員がそれまでの経験に依拠して各学習者に教材を割り当てたり、学習者が興味だけを基準にして選択したりしても効果の保証はできないでしょう。このような背景のもと、学習者の潜在的な学習能力や教材のもたらし得る効果が最大限に引き出される教材が選定される診断システムの開発を要望する声に応えるべく開発されたのが教材選択ナビゲーターです。

  • 土肥充,竹蓋幸生,竹蓋順子(2001).「三ラウンド・システムに基づいた英語CALL教材の開発とその試用」,『2001年日本教育工学会第17回全国大会講演論文集』,809-810.
  • Takefuta, J., Takefuta, Y., & Yonaha, N. (2008). “Evaluation of the Relative Contribution of Various Elements in the CALL System of Teaching English as a Foreign Language,” The 8th IEEE International Conference on Advanced Learning Technologies Proceedings, 418-422.
  • 竹蓋幸生,水光雅則編著(2005).『これからの大学英語教育―CALLを活かした指導システムの構』岩波書店

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